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勇者は二度と冒険の旅に出ない

「ロト三部作」と呼ばれる初代「ドラゴンクエスト」が発表されてからもう30年以上経つという事実が重い世代の中の人ですが…日本のRPGといえばこの頃に金字塔となった「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」シリーズであり、ゲーム業界のレジェンドとして現在も脈々と技術進化と共に歩んでいる冒険活劇の生き字引であるわけですが…いつの間にやらふたつのゲーム会社は「スクウェア・エニックス」として共同戦線を敷くようになるという不思議な間柄になってしまいました。当時この出来事は業界にも衝撃であり、対立関係から融和関係という王道冒険物語のような展開がいろいろと胸熱な話だったのですが…まあ核心部分はかなり違うニュアンスだったりするので、今となっては複雑な心境なのですが。

選ばれし勇者が世界の危機に立ち向かうという物語性は当時の王道的冒険物語であり、追従する冒険物語もまた「世界平和を勝ち取るために戦いに赴く」という物語をなぞっていきました。多くのゲーム作品の歴史を紐解いても…選ばれし勇者の物語は紡ぎ続けられていき、多くの英雄伝説が脈々と語り継がれていくはずでした。しかし、日本の冒険物語の伝説的な2社が合併に至るという事実は…ある種の「英雄伝説の終焉」であったのかもしれない、そんなことを思いつつ昨今のRPGの記憶を紐解いてみる訳です。

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そういえば昨今、冒険物語に触れただろうか? ゲーム界隈であの頃のようなRPGはもう古典の領域になってしまい、昨今のRPGとはまた違う世界になってしまったように感じてしまうのですが…かつてのようなフィールドマップ方式でなくなってきたあたりから表現方法などが大幅に刷新され、昨今はMMORPGのような複数参加型の物語にとシフトしていき…今はもう古典となってしまったかつての冒険物語の感触はすっかり薄れてしまったように思う次第です。とりわけ感じるのは「物語を読む」から「物語に参加する」へのシフトであり、「勇者への感情移入」から「世界観への感情移入」への転換だと思うのですが、いかがなものでしょう?

この転換は、ある意味で衝撃的でした。勇者は使命を受け魔王を倒す戦いに赴くわけで、古典的なRPGに於いては「冒険への参加=英雄伝説への参加」だったのですが…昨今のオンラインRPGなどに台頭する「複数参加型RPG」に於いては「冒険への参加=世界観への参加」であり、「魔王討伐」どころか「魔王に成り代わる」事も可能であり、それどころか「何もしない平穏な日々の傍観」や「未知に対する果てしない探求」なんて事も可能であり、英雄伝説への参加は急速に陳腐化してしまいました。伝説の剣も必要なく、神々の歴史を辿る試練も必要ない…安穏とした小さな平和の謳歌も「誰かの冒険談の一部」として参加可能なものになり、冒険の定義は一気に多様化を辿り…参加するすべての人が英雄を求めなくなってしまうという「かつての常識がひっくり返される状況」が発生し、冒険を巡る価値観が一気に混沌の渦へと放り込まれました。

「絶対的な魔王」もまた、その潮流に飲み込まれ…「世界の恐怖たる存在」から「特定地域に於ける恐怖」に降格させられるという憂き目に陥り、「英雄と魔王が共倒れ」という冒険の世界にあるまじき事態が現実世界から押し寄せるという未曾有の事態により、冒険活劇のとりわけ英雄物語は急速に斜陽化の一途を辿ってしまい…困難に立ち向かう勇者の姿は次第に忘れられていったというのは、何の皮肉でしょうか。現在の冒険物語は「リアルマネーという現実世界からの介入」によって魔王すら弱体化を余儀なくされるチート社会であり、数ある困難は札束で駆逐できるという不思議空間の冒険へとシフトしてきました。そして、多忙を極める現実世界はゆっくりと確実にそのチート社会を受け入れていきました。

最後に魔王を打ち砕いたのが「現実世界」という皮肉、かつての金字塔を打ち立てた「対立した英雄」を融和させるきっかけになった「不景気こそが魔王の正体」という話…昨今に求められる冒険物語がどんなものかは予想出来ない部分でもありますが、昨今求められる冒険物語とはイージーモードの無双伝説だったり異世界転生によるハーレムストーリーだったり、はたまた現実逃避のためのオアシスだったり日々の惰性の産物だったりするのですが…はっきり言えるのは「100万人が求める英雄伝説」はもはや不要になり「多様化に沿ったオンリーワンな物語」のほうが重宝される時代が来てしまったという話であり、勇者も魔王も廃業待ったなしの時代の到来であるという話であり…現在のスクウェア・エニックスの背中に時代の混迷を観たとかそういう話だったりします。

勇者の血筋にあたる人物も、魔王として選ばれた人物も、等しく「求める権利」と「棄てる権利」を有する時代。魔王だってニートになれる…多様化社会であるならば、それもアリなのかもしれません。伝説の2大冒険物語はどこへ向かうのか…という複雑な心境をどうすればいいのでしょうか?

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